トマス・モアのユートピア第2章[知識、技術および職業について]

農業

農業は男女をとわずユートピア人全般に共通の知識であり、みなこの道における熟練者である。

学校では従来のしきたりや規則を教わるいっぽうで、地方から都市近郊に遊びがてら連れ出され、実際に自分たちで体験的に習得する。

農場経営

州内いたる所の田舎に農場住宅を建てている。農家には、主人・主婦と、男女40名と奴隷2名が居住する。30戸の農家(もしくは家族)ごとに一人の統率者(家族長・代官)がいる。田舎に2年滞在したものは20人ずつ州の都会へ行き同数の人々があらたに都会から田舎に送られてきて、1年以上滞留している熟達者から訓練を受ける。

農耕に従事するものは毎年新規に交代するが、農耕生活に興味と喜びを持つ人々は長期間にわたって田舎に滞留することができる。

農耕・畜産

鶏は人工孵化で大量飼育を行う。馬は、乗馬・武術に資するもの以外は飼っていない。牛は農耕に利用後食す。麦はパンをつくるだけ。葡萄、林檎、梨から作った酒、蜂蜜酒または水を飲む。

農耕生産は、都市・農村で消費する以上の量を生産し、余った分は隣人達に「分配」する。農場で手に入らないものは、臨時の労働力を含めて、都市から無償で手に入れることができる。

手工業

農業のほかに、男女を問わず自分独自のなんらかの特殊な知識を習得しなければならない。それは、毛織業、亜麻織業、石工職、鍛冶職、大工職といったところである。衣服は、すべて各自の家庭で作られるが、男・女、未婚・既婚者で違っている以上は、全島を通じて同じ型である。

大体男は、父親の仕事を習わせられるが、父と違う仕事がしたいという気が起こればその職業を業とする家族の養子となることができる。この場合、実父や役人は養子先に対して注意をする。また、2つの技術を習得することも可能で、その場合本人の希望する仕事を自分の職業とすることができる。ただし、都市が特に必要とされる場合はそのかぎりではない。

生活

昼夜を24時間に等分し、6時間(午前3時間、午後3時間)を労働に、昼食に2時間、午後8時頃から8時間を睡眠に当てる。夕食後の1時間は、団欒にあてられ、音楽の練習や、高尚で健全な会話、健全なゲームなどに当てられる。それ以外の残り7時間は各人が好きに使ってよいことになっているが有意義に使わなければならない。

多くの人は自由時間を、朝早くから行われる講義を聞くために使っている。また、自由時間を自分の仕事にささげることは、誉められこそすれとめられることはない。なお、特別に学問に身をゆだねるべく選ばれ人たちが存在する。

労働と生産性

6時間の労働時間は、女性にも架せられており、司祭や聖職者といった人たち、紳士とか貴族とか呼ばれている地主、無頼漢、乞食といった労働をしない人たちが存在しないので、十分な生産が実現されている。加えて、金銭が存在しないので、奢侈しゃし淫蕩いんとうな生活の要求を満たすためだけのくだらなく余計な職業がない、ということも、生活に必要十分な生産為される理由である。


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彼らの生活と交際について
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ユートピアの諸宗教について


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