トマス・モアのユートピア第2章[ユートピアの諸宗教について]

ユートピア人は、信じる所が違っていても、全世界の創造者であり支配者である唯一の神がこの世に存在するということを信ずる点においては、全く同じ立場を取っている。この神を彼らは「ミスラ」と呼んでいる。

ユートバス王がこの国に君臨したとき、従来から住民が宗教問題のために絶えず紛争と軋轢に悩まされてきたということを聞き、誰でも自分の好きな宗教を信奉することも、平和的・冷静な態度をもって、他を自分の宗教に改宗させるのも、自由であるという法令を作った。神はいろいろな形式の礼拝を好み給うがゆえに、いろいろな人の心にいろいろな宗教を啓示したまうのではあるまいかと、ユートパス王は考えたのである。ただし、人間の霊魂は肉体とともに滅びてしまうものである、とか、世界は摂理などによる支配を受けず、ただでたらめに動いているに過ぎないといった、人間性の威厳を損なうような卑しい考えをもつべきではない、と厳命した。

このように、神「ミスラ」をどう考えるかという点では各人各様で定まったものがなかったのだが、ラファエル・ヒスロディ(ユートピア国に行ってその話をしている人)たちが、キリストの教義・立法・奇跡や殉教者の驚くべき節操について語った時、ユートピアの人々は、それを喜び・共鳴して入信しようとした。そして、キリスト教会の司教が派遣されてこないけれども、自分達の中から司教職を選べるのではないかと真剣に検討されるに至った。ラファエルたちがユートピア国を離れるまでに、まだ誰とは決定していなかった。


都市、特にアモーロート市について
役人について
知識、技術および職業について
彼らの生活と交際について
彼らの旅行、および巧みに説かれ、賢く論ぜられたことども
奴隷、病人、結婚その他
戦争について
ユートピアの諸宗教について


  • entry101ツイート
  • Google+

PageTop