電通から恒例の日本の広告費が発表されました。
電波・新聞・雑誌・ネットを合わせた新マス四媒体のシェアを円グラフにしました。
web電通報の「「2017年 日本の広告費」解説」にプロモーションメディアを含んだシェアグラフが開示されていますが、インタ
ーネット広告費を運用型・予約型・制作の小分類に分けていないのが不可解です。
当方のシェアグラフは、ネット広告費は、制作費を抜いております。
これで見えるのは、運用型ネット広告媒体対比が新聞広告を抜いたこと。
ネット広告がいよいよテレビ広告の規模をうかがうようになってきたことです。
もう一つ、昨年と今年の各媒体の増減金額をグラフにしたのが下です。
一目瞭然なのですが、2017年はネット広告とラジオのみが前年比プラスで、他の落ち込みをネット広告がカバーして全体を押し上げています。
2006年分から、私がblogで掲載してきました年々の日本の広告費の一覧(一部飛んでますが)と、それぞれの年を象徴する一節を並べます。2012年から6年連続で前年実績を上回ったのですが、その市場拡大のなかで、市場構造がすっかりと変わったことが理解できると思います。
日本の広告費 2006年
マス4媒体の減額分をインターネットが補ってお釣あり、といったところだが、ネット広告は踊り場感が見受けられる。
日本の広告費 2008年
総広告費は5年ぶりに減少。要するに、ネット広告が伸びたって、テレビの落ちすらカバーできないということ。
日本の広告費 2009年
新聞広告市場がネット広告市場を"下回った"。この2年間で日本の広告市場は 84.3%(15%減)に縮小しているという事実であります。
2010年の日本の広告費
テレビ広告のシェアは 基盤として大きいのですが、新聞と雑誌という「文字メディア」の広告市場の縮小分を、同じく「文字ベースメディア」であるネットメディアが埋め合わせてい るといった状況が見て取れます。
2011年の日本の広告費
ネット広告の市場が拡大するといっても、新聞・テレビ・雑誌の広告市場の縮小を埋め合わす力は(いまのところ)無い様で、マス媒体以外の市場への展開が必要だと考えられます。
「2012年(平成24年)日本の広告費」で見えた広告業界の大変革のきざし。
総額は5年ぶりにプラス。インターネット広告小分類を「運用型広告」と「ディスプレイなど」に設定変更。
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運用型広告とは、膨大なデータを処理するアドテクノロジーを活用したプラットフォームにより、広告の最適化を自動的にもしくは即時的に支援するような広告手法のこと。
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日本の広告費2013
新4マス媒体の時間シェアは、
- テレビ:48%
- 新聞:9%
- 雑誌:5%
- ネット:39%
となっています。メディア接触に応じて広告媒体のシェアが移っていく、と仮定すれば、ネット広告の市場はテレビ並みになっていってもおかしくないと、言えるのではないでしょうか。
2015年の日本の広告宣伝費で見えてきたパラダイムシフト
新聞、雑誌、地上波テレビといった、広告掲出場所が決まっているいわゆる「枠売り」の広告媒体販売モデルは、読者・視聴者の質を選ぶいわゆる「オーディエンス・ターゲット売り」へとその形を変えようとしていると理解できます。これが、枠から人へのパラダイムシフトなのです。