間違えないPESOモデルの理解

PESOモデルの正しい理解

広報会議2017年10月号No.105,19ページでGini Dietrichのblogエントリー「PR Pros Must Embrace the PESO Model 」を参照して、四つのMedia の特性を示したしたの図をあげているが、一部に原典とは大きく違った理解があるので、指摘しておきたい。その相違点は、Shared Mediaが「生活者のSNSやブログ」であると理解しているところである。

広報会議PESO.jpg広報会議2017年10月号から筆者一部加筆
https://mag.sendenkaigi.com/kouhou/201710/introductory-own-media/011513.php


Gini Dietrich | March 23, 2015 @ SPINSUCKS,

Dietrichの原典に、同様の円グラフがあり、それぞれのメディアについて説明がある。その仲で、EarnedMediaとSharedMediaとの部分を邦訳したのでしたに記載する。

EarendeShared.jpg
 見てのとおり、原典にはSharedMedia領域にブログはなく、SNSとコンテンツ共有サービスが並んでいる。では、ブログにかかわる領域はどこに提示されているだろうか、それは、EarnedMediaである。Dietrichは、ここにパブリシティと項目を立ててその活動を下の四つの項目で明示している。

  • メディア・リレーション
  • ブロガー・リレーション
  • インベスタ・リレーション
  • インフルエンサ・リレーション
原典の原典

 ちなみに、広報会議では、PESOモデルを初めて提唱したのは、2014年のDietrichのもの、としているがこれは誤りで、この概念は当ブログの別掲「PESOモデルの概要と特性」に上げたように、Don Bartholomew | May 12, 2010のThe Digitization of Research and Measurement in Public Relations が初出である。

https://socialmediaexplorer.com/online-public-relations/the-digitization-of-research-and-measurement-in-public-relations/

 この原典の原典から、SharedMediaの定義は

「消費者に制御されるSNSや掲示板などの技術を指す。オンラインとオフラインのクチコミを含む。」

 とあり、その情流特性は、下のように理解できる。企業の情報が直接自社のファンやフォロアーに伝えられ、二次的にそれらのファンやフォロアー(いわゆる友達)に伝わることで拡散していくが、一次情報の意味・文脈が保持される保証はない。また拡散される情報には、執筆者の解釈が加わったEarned Media由来のものもあり、企業が制御することは実質的に不可能である。

 一方、Earned Mediaの定義を邦訳すると、下記となる。

「新聞・雑誌・電波などの伝統的なメディアだけでなくブロガー達へのアウトリーチ(対話/相互理解)の確立を指す。企業・ブランドやその製品・サービスについて取り上げてもらうように、コンテンツ提供者に影響を及ぼして奨励してもらう働きかけを含む。」

 その情流の特性は、企業の情報が、パブリシティ先である執筆者によってコンテンツ化され、マスコミやCGMに掲載されてオーディエンスに届くと理解される。執筆者には、メディア企業に属する記者や番組プロデューサー、掲載媒体に縛られていないライター、企業を評価する立場のアナリスト、多くの読者やファンやフォロアーを抱えるブロガーとインフルエンサー―を含む。

 このあたりを理解して、シックスアパートの壽かおりは、シンプルでわかりやすい図を公開している。

SixApart壽PESOモデル.jpg壽かおり,広報活動の一環として取り組む、オウンドメディアの勘所, Feb 23,2016,
https://www.slideshare.net/kaorislideshare/ss-58585262

 壽の、書いて「くれる」という表現にパブリシティとEarendMediaの関係が良く表されていると思う。記者やブロガーに働きかけて、その情報が彼らにとって価値ありと納得すれば、メディア通じて広め(パブリッシュ)て「くれる」。そのプロセスがパブリシティといえるであろう。

PESOモデルで変わる広報活動

 広報活動において、PESOモデルを導入することで変わる大きな点は、パブリシティ先として、従来のマスメディア・旧来メディアに、ブロガーやインフルエンサーなどCGCの書き手やクリエーターが加わってくることである。従来からもマスメディアとは別にブロガー向けの新製品発表を行う企業や、アジャイルメディアネットワーク(AMN)といったブロガーと企業を結びつける事業を行っている企業もある。ネットを経由したプレスリリース配信サービスもその配信対象は伝統メディアだけでなく、ブロガーを含めた広く一般生活者に広がっている。

 ブロガーやインフルエンサーには記者クラブといった自主管理された集団はない。企業自らあまたのそれらの人々と関係性を広げていくか、AMNのようなサービス企業とうまく付き合っていくことが必要であろう。そのプロセスの中では、ネイティブ広告、非明示広告、やらせ記事、といった明暗含んだ広告領域と広報領域の重なる部分での企業活動が求められてくるのだが、それはまた、別の議論とする。

このエントリーを含むPESOモデルに関連するページ

PESOモデルとは何か、それによりメディア戦略はどう変わるのか
PESOモデルの概要と特性
間違えないPESOモデルの理解
PESOモデルで見たCC Landscape
シェアードメディア(Shared Media) の3つの様相

論文:玉川俊哉「PESOモデルによるメディア把握の有用性に関する一考察―ネット炎上事象を題材にー」広報研究第21号,日本広報学会,2017/3。はこちら ※pdfへ直リンクです

  • entry81ツイート
  • Google+

PageTop