コンテクストとは,コミュニケーション行動を取り巻くその場の状況や,その場を取り巻く社会的,政治的,歴史的な背景のことをいい,前者は状況のコンテクスト(context of situation),後者は文化のコンテクスト(context of culture)と呼ばれている。
末田清子・福田浩子『コミュニケーション学-その展望と視点-(増補版)』松柏社,2011,p.130
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この「文化のコンテクスト」に関連して,コミュニケーションの当事者間で既に共有している情報量が多ければ(ハイ・コンテクスト文化),言語化して伝達する情報量は少なくなり,反対に共有している情報量が少なければ(ロー・コンテクスト文化),言語化して伝達する情報量が多くなるとされている.
メディアをハイ・ローのコンテクストに当てはめて理解すると、メディアを通じてコミュニケーションをとる際に、流す情報量は下図のように理解することができる。
- ※1:SEO対策上文字数は多いほど良い、という説がある。
- ※2:プレスリリースの標準的な文字数。
- ※3:FaceBookは「続きを読む」が表示されるまで約全角100文字以内を意識する。
ハイ・コンテクスト・メディアを経由してのコミュニケーションは、はずすと怖いww
コーセーが2014年に買収した「tarte(タルト)」という化粧品メーカーがある。
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「アメージング!」「これを使えばマーメイドになれるわ!」――。7月9日、タルトの公式インスタグラムに主力リップ「Tarteist」の新色がアップされた。半日でついた「いいね」は4万7千件。商品のクールさを称賛するコメントがあふれた。
数時間おきに更新されるタルトのインスタのフォロワーは約680万人。仏ロレアルの約370万人、米エスティ・ローダーの約190万人など世界の「巨人」をしのぐ。ネットで情報を収集してから買い物をするのが当たり前となっている30代前半以下の「ミレニアル世代」の心をしっかりとつかむ。
"(日経産業新聞,2017/7/21)
化粧品という、きわめて嗜好性の高い商品にとって、ハイ・コンテクスト・メディアであるインスタグラムを通じたコミュニケーションが適していることが理解できる事象である。
しかし、文化のコンテクストは、異文化である日本人にとって、米国人と同様な理解になるとはいえない。
コーセーとしては、今のところタルト製品の日本市場への投入は見送っている。
ハイ・コンテクスト・メディアの利用とそれに適した商品を考えるときに参考になる事例である。
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