シェアードメディア(Shared Media) の3つの様相

シェアードメディアというメディア理解が提唱されていますが、何を持ってシェアドメディアとするかという議論はあまりされていません。現在提唱されているシェアドメディアの三つの様態をまとめました。

それは、情報の流れ方の違いから見たもの、コンテンツから見たもの、そして情流の場を視点に置いたものです。

情流の違いから見たPESOモデルにおけるシェアードメディア(Shared Meida)

PESOモデルは、日本ではトリプルメディアとして一般的なメディアの分類方法であるForresterモデルをPR業界向けに拡張したもので、Forresterモデルが提唱された翌年2010年に提案されたものです。
トリプルメディアはPaid,Earned,Ownedの三つでメディアを理解しますが、PESOモデルでは、Earned MediaをPR(パブリシティ)活動の対象であるEarned Mediaと消費者に制御されるSNSや掲示板などのShared Mediaの分けてあわせて四つに分類してメディアを理解していきます。
それぞれのメディアの定義と特性については、拙文PESOモデルの概要と特性をお読みください。
PESOモデルは、情報の流れ方(情流)に着目してメディアを分類したもので、下図はそれぞれの情流を示したものです。

PESO情流.jpg
コミュニケーション戦略は、誰(オーディエンス)にどのルート(メディア)を経由して何(コンテンツ)を流していくのかを設計していくことが基本であるとすれば、PESOモデルで扱われるShared Mediaはルート設計の部分で価値があります。

コンテンツの所有主体から見た、シェアードメディア(Shared Meida)

アドウィークは「FacebookにおいてShared Mediaをどう定義するか」という記事をあげています。 (Jackie Cohen,August 18, 2010)
Facebookは、企業から見ると広告コンテンツ(Paid)もオーディエンス・コンテンツ(Earned)も自社コンテンツ(Owned)も混在した情報空間です。それぞれが重なりながら存在するのですが、3つの意味合いが重なる部分をShared Mediaとしています。
「シェアードメディアとは、ブランドとユーザーの間文書化されたエンゲージメントです。それはブランドとユーザーの両方のタイムラインに反映され、どちらの書き込みもどちらかに完全に所有されていません。 平たく言えば、ブランドのステータスアップデートにいいね!をしたりコメントをしたりするとか、ブランドのFacebookページのウォールに投稿したときとかには、ブランドのページと自身のプロフィールの両方にあなたの行動の記録が残っています。 ブランドはコンテンツを独占的に所有しているわけではなく、あなたもそうではありません。 コンテンツはある面ではOwnedであり、ある面ではEarnedであります。それではちょっと混乱しますので、そのコンテンツをここでシェアードメディアと考える方が良いでしょう。」

具体的なコンテンツとして下記の項目を指定しています。

  • コメント
  • いいね!
  • RSVP(出欠表明)
  • ファンからの写真・ビデオ投稿
  • ディスカッション
  • 質問へのファンからの答え
  • タグ付けされたポスト

アドウィークは続けてその重要性を指摘しています。
「Facebookの効果的な管理には、シェアードメディアが何を意味し、どのようにブランドに利益をもたらし、損害を与える可能性があるかを理解することが不可欠です。 Twitter、LinkedIn、MySpaceのネットワークはFacebookとまったく同じように動作しませんが、同じ基本原則が適用されます。」

ブランドにも、オーディエンスにも共有(Shared)されているコンテンツは、ブランドの意思と関係なく意味づけがなされていくというPESOモデルと共通のメディア理解から構築されており、コンテンツの視点で解釈されているといえるでしょう。

情流の場を視点に置いた、シェアードメディア(Shared Meida)

日経デジタルマーケティング2012年12月25日付け「トリプルメディアに続く第4のメディア、他社のメディア力を生かす仕組みづくり」として、シェアードメディア(Shared Meida)のひとつの定義が示されています。
それは、他社と共同で展開する媒体や場のことと示されている。「Owned Mediaが一定規模のユーザーを囲い込むようになって、複数の企業がそれぞれのブランドをを寄せ合って一つのブランド空間を共有すると言う概念としてシェアードメディアが扱われるようになった。それぞれのブランドの持つユーザーをも共有するという構造である。」とします。
事例として、小売店の商品棚における露出・訴求方法の工夫や、大手バーガーチェーンがドリンクメニューにコカ・コーラや爽健美茶を採用する、といった他社との共同展開が該当する。
ブランド同士が協力してコミュニケーションの場を共有(シェア)するという意味合いです。

ある企業は「コンタクトポイントでリーチを最大化する"OESP"」としてShared Mediaを含んだメディア分類を利用しているといいます。

  • Owned Media:コーポレートサイト、SNS公式アカウント、出版物など
  • Earned Media:マスコミ推進、アナリストレポート、WOMなど
  • Shared Media:協賛、タイアップ、展示会、セミナーなど
  • Paid Media:広告宣伝活動

ブランドの共同展開や展示会などは、同じオーディエンスに向けて複数のブランドからのメッセージを発信するという、もっぱら効率を考えたものですし、OESPもファシリティ、広報、セールス、広告、という社内組織に対応して分類したものと理解することもできます。この考え方は企業がコミュニケーションを行うための組織作りや、予算組みの際に有効な考え方といるでしょう。

このエントリーを含むPESOモデルに関連するページ

PESOモデルとは何か、それによりメディア戦略はどう変わるのか
PESOモデルの概要と特性
間違えないPESOモデルの理解
PESOモデルで見たCC Landscape
シェアードメディア(Shared Media) の3つの様相

論文:玉川俊哉「PESOモデルによるメディア把握の有用性に関する一考察―ネット炎上事象を題材にー」広報研究第21号,日本広報学会,2017/3。はこちら ※pdfへ直リンクです

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