日本のリブランディングについての一考察

日本:カントリー・ブランドの毀損

日本政府観光局の統計によると、今年
2011年の訪日者数(出入国者数)は、 3月に前年比-50.3%、4月は-62.5%(同)、5月が-50.4%(同)、6月でも-36.0%(同)となっている。



訪日者数の回復は観光立国推進基本法の法の精神からも国としても取り組まなければいけない課題の一つである。
ま た、国政にとっての第一のステークホルダーである国民に対してのブランドマネジメントの成否は年金保険料支払いといった現実的な案件にとどまらず、広く国 民のイキルチカラ、にも多大な影響を与えることであり、国力そのものを左右する最優先課題であると認識するべきものだと考える。


日本ブランド再構築への道筋


アウターブランディング(国外のステークホルダーに向けて)

フューチャーブランド調査の「カントリーブランドランキング2010年」によると、日本は6位に位置づけられた。フューチャーブランドの、CBI(Country Brand Indicater)は、1年に1回以上、ビジネス・観光で海外を旅行をする五大陸の消費者3400人に、対象 102カ国の観光の魅力や生活の質などについてインターネットで調査。これに各国の専門家の見方やブランドエクイティといった情報を組み入れてラ ンク付けを行っている。

2009年の調査結果によると、日本は全29カテゴリーのうち「最先端技術の普及」、「製品・サービスの質」、「ナイトライフ」、「ビジネスを始めたい国」、「会議開催のふさわしさ」、「独自性のある文化」の6つで首位となった。

これらの6指 標は今回の東日本大震災と福島原発事故を越えても、ポイントが下がるようには思えない。日本企業の国際的ポテンシャルである技術力や製品力は当面下がるこ とはないであろうし、訪問者に対するホスピタリティは歴史に裏打ちされた日本人のメンタリティに基づくものであり短期的には大きく変わるものではない。

今回の震災と、原発事故からCBIに影響を与えるであろう指標は「Authenticity :信頼性」と「Safety:安全」と考えられる。安全と信頼性は表裏一体の指標ともいえる。当面、海外から見た日本の安全は「放射能汚染」が大きな基準になる。その条件下でブランド力を維持するためには「放射能汚染からの安全」が大きなテーマとなる。

しかし、福島原発事故による放射能汚染は短期的に除去されるものではない。したがって、日本が対外的に安全を理解させるための方法は「危険区域の明示」と考えられる。「危険」が明示されればそれ以外は「安全」と理解されるであろう。

具体的な方策は、住民にとっても大きな痛みを感じさせることであろうが、単に観光やビジネスでの来訪者数復旧にとどまらず、国際社会での日本の地位を保障していくことであると、理解を求めなければならない。


インナーブランディング(国民というステークホルダーに向けて)

JICA(独立行政法人国際協力機構)研究所の援助研究会報告書 『指標から国を見る ―マクロ経済指標、貧困指標、ガバナンス指標の見方―』(2008)よると、グッドガバナンスを測る指標として、世界銀行研究所のカウフマン等(Kaufman, Kraay, & Mastruzzi2003)の総合的ガバナンス指標がある。これは、「国民の声(発言力)と説明責任」「政治的安定と暴力の不在」「政府の有効性」「規制の質」「法の支配」「汚職の抑制」からなり、世界銀行研究所の『世界ガバナンス指標』http://www.govindicators.orgにおいて、世界各国の直近のスコアを確認することができる。それによると世界トップGDP10カ国(米、独、英、仏、伊、ブラジル、インド、ロシア、中国そして日本)における日本の位置づけは「国民の声(発言力)と説明責任」で7位、「政治的安定と暴力の不在」で1位、「政府の有効性」で5位となっている。


腐敗、特に汚職に対して取り組む国際的な非政府組織である 、トランスペアレンシー・インターナショナルは、政治腐敗を2004 年には「私益を得るために、与えられた権限(entrusted power) を濫用すること」と定義している。グッド・ガバナンス概念の構成要素は、ある課題の達成に当たり、有効性、効率性、公正性を求め、そのために、情報の公 開、プロセスの透明性、説明責任制、民主的コントロールを必要とすることとされるが、より具象化したものには、法の支配、司法の独立と人権の保障、地方自 治と分権、文民統制、行政運営能力の向上、公共部門の改革、腐敗を抑制した政治が挙げられている。(横田洋三1999 年、国際協力事業団1995 年)


日本のインナーブランディングは、国民が国に対して信頼することが最重要点であり、当面は政府に対してコミットしていくことである。そのKPIは国政選挙の投票率で測ることも出来る。国民に向けてのブランディングの初めに、現状認識として菅総理が非難されている行動が、政治腐敗の定義である「私益を得るために、与えられた権限(entrusted power)を濫用すること」であるのかどうか、政治家もメディアも全力を持って検証しなければならない。その上で世界銀行の標準ガバナンス指標に乗っ取った国政を行っていくことが、国民の信頼を得ることであり、日本国のリブランディングとなると思う。
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