大学改革その2

大学の経営

理念、目的、目標、中期計画といった骨格のもと、大学組織のデザインは変化への対応力が重要となる。時代の要請に対応するために、流動的な組織デザインも必要となる。機能別縦割りピラミッド型組織デザインが圧倒的に多い大学組織であるが、キャンパスの分散化や学部の多様化に対応するために、企業の事業部制的な組織デザインも検討するべきである。

いずれにしても、人的資源管理は重要であり優れた教員の確保や、既存教員の研究・教育能力に基づいた大学組織の設計が必要となる。

財務的視点から見た大学運営に占める交付金比率は大学法人で4546%、学校法人(私学)で10%程度。私学は逆に、自由度を最大限活用して競争力を強める努力が必要である。(財政逼迫の昨今、大学法人も大同小異である。)

学校法人(私学)経営環境の現状は、入学定員割れ校の比率は2009年で大学46.5%、短大で69.1%で、急速に悪化している。とともに、法人間格差も拡大しつつあり、財政的に再生が厳しい学校法人は大学で10%短大で20%程度と見られている。職員の危機意識やあり方もおのずと国公立大学法人と違う。

大学法人、学校法人の、別なく、職員の役割は高まっている。法人間競争の状況において、職員は上司の指示を待つだけなく、積極的に構想、規格・開発などに取り組まなければならない。やる気と実行力。組織人としてのコミュニケーション能力、教員との協働する必要である。そこには、職員も教育者であるという自覚が必要であろう。(この件は別掲)

職員人材形成においては、キャリアパスを提示し、職務と職能の構築と明示。問題発見能力と問題解決力を軸にした評価制度の導入が必要である。大学経営の重要性の認識は、職員力の向上を求め、教員優位時代の終焉を導く。

大学経営におけるマーケティン

大学運営におけるマーケティングの導入は、大学入学予定者を需要者、大学を教育サービス提供の場として見立てて、大学全体を需要と供給関係の成り立つ市場として見立てることで成り立つ。市場を分析し、当該大学の対象となる需要者(入学志願者)を定め、志願者に応じた教育サービスラインアップ(学部・学科・カリキュラム)を開発、整備する事と換言してもよい。

大学のユニバーサル化での、需要者側(志願者)は、学力レベルと勉学姿勢によって、大きく4つのタイプに類型化できる。A群「基礎学力は高くないが、大学への好感度や進みたい分野をもって入学した」、B群「基礎学力は高くなく、特に学部や専門性についても深慮せずに入学した」、C群「基礎学力があり、大学への好感度を持って入学したが、学部や専門性については意識が高くない」、D群「基礎学力があり、大学を選択でき、かつ進みたい分野を意識して学部を選択し入学した」。これら類型化された学生のどのグループをターゲットして、どのような教育サービスを提供していくかをマーケティング的技法で構成していくことが大学マーケティングの方法論のはじまりであろう。

マーケティングにあたっては十分な調査・検証と、需要者(学生ならびに親・学校)との直接的・双方向のコミュニケーションが必要であり、大学側から需要側である高校への綿密なアプローチ(需要調査)が必要となる。

ただし、企業におけるマーケティングでの問題と同様に、必要以上に需要家側に寄りすぎたマーケティングは、本来の自社の能力を過小評価することで利益機会を失ったり、需要家の高い要望に合わせて、過大な目標を立てることで結果的に求められる品質のサービスが提供できなくなったりする。

マーケティングの前に、会社の理念、提供したい商品サービスの性能、そして、購入者が自社商品・サービスを利用することによって得て欲しい利便性といった、提供者としての思いをしっかりと設定できないと、マーケティングは無用の混乱を招くことになるであろう。

財政計画

中長期計画と財政計画の設定が必要である。ただ、足元の財政状況を検討しての計画でないと将来予測にブレが生じる。また、各年度の予算編成と各年度の財務状況のすり合わせで常に計画は修正されうる。

また、学校法人の場合、財務情報の開示が義務付けられているとともに、交付金が運営費の大部分を占める国公立大学も、財政逼迫のおり、正当な財務運営が求められている。

大学評価

国公・私立大学(短期大学を含む。)及び高等専門学校は、その教育研究水準の向上に資するため、教育研究、組織運営及び施設設備の総合的な状況に関し、7年以内ごとに、文部科学大臣が認証する評価機関(認証評価機関)の実施する評価を受けることが義務付けられている。

大学改革の根拠となる制度変更

1991年大学設置基準の大綱化による事前規制から事後チェックへの変更。

大学評価制度の根拠となる政策。

大学審議会答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について-競争的環境の中で個性が輝く大学」(19981026日)

1、大学の個性化を目指す改革方策

              • 課題探求能力の育成-教育研究の質の向上
              • 教育研究システムの柔構造化ー大学の自律性の確保
              • 責任ある意思決定と実行ー組織運営体制の整備
              • 多元的な評価システムの確立ー大学の個性化と教育研究の不断の改善
              • 高等教育改革をすすめるための基盤の確立等

2、多元的な評価システムの確立

              • 自己点検・評価の実施及びその結果の好評を義務とし、学外者による検証を大学の努力義務と位置づける
              • 現行の大学評価制度は2004年(平成16)年度から
              • 2003 年(平成15年)7月制定の大学法人法と地方独立行政法人法の適用を受けて、国立大学法人ならびに、公立大学法人が20044月に発足した。ここから、現行の大学に対する事前規制から事後チェック(評価)制度が実施された。私立大学においては、2002年(平成14年)制定の学校教育法追加条文第109 条によって自己評価と第三者機関における評価を受ける必要が発生する。

文科省大臣から認証された評価認証機関

【大学】

財団法人大学基準協会

独立行政法人大学評価・学位授与機構

財団法人日本高等教育評価機構

【短大】

財団法人短期大学基準協会

独立行政法人大学評価・学位授与機構

財団法人大学基準協会

高等専門学校

独立法人大学評価・学位授与機構

認証評価の課題

          • 評価を活かす体制:評価を改善に結び付けられるのか。自己点検・評価結果が学内に共有されて「教育研究活動の改善」に結び付けられるか。
          • 評価結果の社会への浸透:webサイトでの公表が限度で、特に受験生・その親・高校教員に向けての提供はその方法を含めて重要な課題である。
          • 評価体制の強化:7年内に1度の認証評価にたいする評価者の確保やその体制。
          • 専門分野別評価への対応:法科大学院をはじめ、75専攻にわたる専門職大学院の中には認証評価機関の整備されていない分野もある。

国立大学法人評価

国立大学の評価は、国費の投入に対する説明責任をはたすため、評価そのものも実績や中期目標の達成状況の分析・判定を行い、公表することが主目的となり、私学大学とは趣を異とする。

国立大学法人の評価は、大学評価・学位授与機構と、国立大学法人評価委員会があわせて行うことになっている。

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