大学改革その1

大学の役割

大学に学ぶ学生は、その日本の発展とともに、質量を大きく変えてきている。歴史の流れの中で、大学は少数の学生に対するエリート教育から、戦後ベビーブーマー達に対するマス教育を担って、明治以降の日本の成長に役立ってきた。そして、平成時代に入って大学全入時代を迎えるにあたって大学教育は、「ユニバーサル化(だれでも)」から「グローバル化」という視点での役割を経て、全国民に対しての開かれた社会化が求められるようになってきている。


大学の公共性

公共財とは排他性がなく誰でも競合せずに利用出来るものであり、入試合格といった個人的条件が必要な高等教育サービスは本来的な意味において公共財ではない。ただし、教育を受けたものが社会的な価値を生むという外部的効果から見ると、大学は高い公共性を有する。

私立大学とは違って、地域貢献、地域還元が重要視されている公立大学は、開かれた大学としての公共性を最重要視しなければならない。公立大学は、公正な評価をうけることで、その公共性を高めなければならない。

また、大学がその公共性を高めるためには、教職員のみならず、ステークホルダー(世の中)の「支え」が必要で、大学の社会的価値は大学個体だけでなく地域と共に創り上げていく必要がある。

大学の社会的位置づけ

新自由主義(秩序の元の自由)の流れの中で、大学は事前規制から、事後評価に政策的管理方法が変わった。大学の自治は権力からの独立性担保という意味から、社会の中で自立する一つの個として自制的存在の実現として意味を変えてきている。そして、教育・研究の場としての大学は以前にも増して、一つの法人格としての意識をもって社会の中での役割を発揮しなければならない。

また、現代の高等教育政策は、教育理念が明確で、教育・研究の質的向上に努力する大学を評価するというポリシーのもとで、各大学は運営の透明化、成果の明確化が求められている。

大学の再設計

大学は個別な役割を担うために、いくつかの類型の中から選択融合を行い、自らを位置づけなければならない。大学間競争の激化は、大学間格差、学生間格差の拡大を助長すると言われているが、個別大学ごとの「個性化」が成し遂げられれば、多様な大学が共存した高度な高等教育環境が実現されることであろう。

<大学の類型>

  • 世界的研究・教育拠点

  • 高度専門職業人養成

  • 幅広い職業人養成

  • 総合的教養教育

  • 特定の専門的分野(芸術・体育等)の教育・研究

  • 地域生涯学習機会の拠点

  • 社会貢献機能(地域貢献、産学官連携、国際交流等

大学の国際性

政策としての国内向け留学生30万人計画(2020年目標値)が掲げられ、大留学時代を迎えている。現状は、2005年以降12万人程度で推移している。また海外留学生は8万人程度で頭打ち状態が続き、若者の安定志向がグローバル化を前に懸念材料となっている。企業の人材募集姿勢にも多くの問題が指摘されている。しかし、21世紀の爆発する知の統合に国際的能力が必要となっている。

「大学の国際化」の課題は、個性・特色を見せる事にある。また、外国人留学生受け入れの大幅増大、外国人教職員充実による、大学の教育研究水準の高度化を図ることでもある。しかし、海外から見て日本の大学は分かりにくいと言われるのは、国際的基準での評価と説明責任に関する課題に共通する

グローバル社会を生き抜くために、組織は異質な要素を積極的に取り込んで、そこからエネルギーを吸収するとともに、同質性の高い日本において、異質性を高める努力が必要となる。

大学の自治とマネジメント

かつて大学自治は、学問の権力からの独立として位置づけられていたが、国公立大学の法人化によって「経営体としての独立性が」「大学の自治」をまもることになった。

大学経営には、「大学法人サイド」「教学サイド」の二方向からのマネジメントが存在する。それを統合するのが法人の理事会であり、この二つを統合することで「大学の自治」が確立する。理事会が大学運営全般に対して決定権を有し、教授会は審議機関である。

ひとつの見方として、経営環境の変化に対応するためのリーダーシップをもったCEO的存在が必要であるといえよう。それは、経営の透明性を高め、大学の運営とその成果に関する情報を外に開くことによって、教育・研究の質を保証しユニバーシティガバナンスを確立する。

しかし、一方で、大学は教員・職員・学生からなる組織体であり、一般企業体のなぞらえたトップダウン型の経営手法はそぐわないという考え方もある。構成員三者が合議的に協業し共同体的に運営していく要素も重要視されなければならず、トップダウンとボトムアップのバランスが重要な考えとなっている。

また、大学の構成メンバーの協力とともに、ステークホルダーの「支え」が必要となってくる。大学の社会的価値を校内外で共有しながら運営していかなければならない。


橋本大阪府知事は公立大学法人大阪府立大学との関係性は?

知事は公立大学法人大阪府立大学の設置者の代表であり、ステークホルダーの第一にあげられるべきものであり、大阪府立大学を存在せしめる主体である。


大学評価から見えてきた(国立)大学の課題(大学評価・学位授与機構の見方。)

  1. 教育研究上の問題:教育研究理念、建学の精神の抽象性からくるカリキュラムポリシーの曖昧さ。

  2. 組織力の弱さ:組織としての一貫したPDCAサイクルの不足からくるディプロマポリシーの不明確さ。

  3. 情報公開と説明責任の不足:ステイクホルダーの求めとの乖離

  4. 外部環境、内部環境の分析不足:目的・目標が抽象的で計画立案やその評価、評価根拠資料も不足

  5. 認証評価や国立大学法人評価など、目的を十分理解されないまま評価作業が進められて「評価疲れ」といったものが見受けられる。

いずれにしても、「説明責任を果たす」と「大学の国際化」の両者に共通した大地の課題は、大学の個性や特性を明確に社会に向かって発信することである。各大学の使命・理想像を明確に示し、それに基づいて目的・目標を提示し、実現に向けた方策の具体化が求められている。

大学の構想とトップマネジメント

従来、建学の精神が従来から明確な私学に比べて、国公立大学は、曖昧な場合が多かった。法人化にともなって、国公立大学も独自の建学の精神、教育理念を内外に共有化するようになった。それと共に、その代表者としての学長(大阪府立大学においては法人代表=学長=理事長)の位置づけが変わってきている。学長は地方独立法人法下において、設置の基本理念のもと、中期目標の設定と中期計画の策定・実施する、強い信念とリーダーシップが求められる。

大学の経営構想の構築は概ね次のプロセスを取る。1.経営姿勢2.経営構想力3.ミッション4.ヴィジョン5.中長期計画・戦略立案。そして、トップを中心とした組織全体としての実行力が求められる。

全入時代危機管理とは、第一に18歳人口の減少という「市場縮小時」のリスクマネジメントであり、縮小均衡を志向する可能性が高く、逆に積極的対応は「無理なもの」が多くなり失敗する可能性も高い。現実に私学においては、1998年以降短大の4大化という不合理な経営判断の結果、多くの私立大学が赤字化している。短大は短大として質向上を図るべきだった。四大、短大の別にかかわらず。大学法人は、自主性と自己責任とCEOの経営能力、そして、実現のための情報共有と課題の共有をもってマネジメントにかかわらないとならない。

大学連携のかたちとして、積極的大学間連携や破綻回避の大学間連携が出現してくるであろうが、個別連携からコンソーシアム、知的クラスターなど大学間連携の本格的展開が始まっている。目標を明確に設定して試行錯誤で運営を模索する必要がある。また、財政基盤の確立とコーディネーターの確保が課題である。

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