例えば有馬温泉あたりの旅館の場合。

有馬温泉は、大阪から見ると「お忍び一泊温泉旅の場所」と相場が決まっている。


そこから、イメージされるのは、金満ハゲおやじが大阪北新地のホステスと店の休みの平日に、家人には業界の一泊ゴルフに城之崎温泉方面に行くと言い残して出かける、といった状況である。

それはそれで、有馬温泉のブランドとして大切にしなければならないイメージだと思う。有馬温泉はその辺の"掘れば出てくる温泉なるもの"で作られたスーパー銭湯ではないのである。

ただ、昨今の日本の経済状況を考えると、昔のように「金満ハゲおやじ」というのも、随分と少なくなった。大阪北新地のホステスも派遣の子が増えてきて「その身を賭ける、プロの女性」も随分減ってきた(ようである)。

そこで、有馬温泉あたりの旅館が打ち出すべきイメージは「大人の隠れ家」ではないだろうか。

別にハゲにならんでもいいけど、ちょっとした小金を持った「大人」が「こっそりと出かける」場所として有馬温泉を位置づけて、そのコンテキストの中で旅館としてのサービスをマッピングしていく。

ターゲットとする顧客は、大学生のカップルでも、結婚間近の婚約者でも、新婚さんでも、定年したばかりの初老の夫婦でもOKだ。この際、金満ハゲおやじもターゲットにしておこう。

そこで、ソーシャルメディアの使い方としては「温泉旅館の仲居は見ていた」というテーマが考えられる。

仲居さんのつぶやきとして、

「今日はゆっくりと朝湯を浸かられて、遅めの朝食を食べられた老夫婦の姿に人生の幸せを感じました。」
とか、
「瑞宝寺公園のもみじ茶屋から見る紅葉は、初冬の暮れ行く有馬温泉を味わう一番の隠れた場所です。」
といった言葉をソーシャルメディアに流して、「おとなの隠れ家」を体験したいターゲットたちを動かしていく。

そんな使い方ができると思う。

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